きまぐれトリル

第六楽章

「八代音楽事情」
八代はとくにコンサートの乏しい都市です。

そんな中、地元で音楽活動している演奏家も居ます。
私もその一人ではありますが、少し裏事情を・・・。

コンサートを開くには、相当の労力が必要です。
何が大変かというと、お客様に来ていただくこと。
チケットを買っていただくことは、本当に大変で、頭を下げまくってあっちこっち回ります。
この不況の最中、なかなか財布の紐も固く、充分わかっていながら頭を下げまわります。

ところで演奏者にギャラはあるのか? というと、それがほとんどありません。
チケット収入は、運営費に消えます。むしろ赤字になることがほとんど。

それでもなぜ演奏会をするのか・・・!

勿論、音楽の素晴らしさを感じてもらいたいのが一番です。
他にもこれは私個人の考えですが、プロの演奏家を呼ぶことはお金さえあれば出来ます。
でも八代在住の演奏家の場合、知っている人がステージ上で演奏し、普段とは違う姿を見ることで、何かを感じるだろうし、エネルギー源にもなるんじゃないかと・・

実際、友人が頑張っている姿をみて、「私も明日からがんばろう!」と元気をもらいます。
学校の音楽授業数は削られていく昨今、授業でさえCDに合わせて歌ったりしている所もあると聞きます。

ライブでは、演奏者と観客の空間を味わったり、なによりも生の音を体感できます。
特に感性の強い子供たちには、生の音を聞いてほしいものです。

以前、演奏会のアンケートの中に、親御さんから「障害を持つ我が子が『お耳がうれしい』『心がほかほかしたね』と言って二人でウキウキして会場をあとにしました」という有難 いお言葉をいただいたことがあります。
演奏者の立場として、お金をいただいて、わざわざ足を運んでいただくのですから、日々努力を欠かさず精進するのが義務だと思っています。

これからいい季節になりますね。
家の中でデジタルの音を楽しむのいいですが、たまには少しお金を出して、ちょっとおめかしして生の演奏を聴くのも、普段の生活に何かが生まれると思いますよ!!

 


 

目次へ戻る
 

コラムの著者
(ナチュラル) さん。 八代で活躍中の音楽家・ピアニスト。