けんちゃんの行け!!麺

第 16 話 蕎麦打ち

 趣味の料理の中で一番、好きだったのはやっぱり蕎麦打ちですね。
なんと言っても、本職になったくらいですから。

 でも、本当に難しかったですね。
うどんなら太くても硬くて、何とか長くできて麺らしさがあるんですが
蕎麦ってなかなか繋がらないんですよね!
やってみると分かるんですが、本当に難しいです。
最初は短くて爪楊枝みたいなのしか作れなかったです。

 色々な本を買って、何で繋がらないのか?どうやれば繋がるのか?を研究しました。
粉に水を加える水回しの技術が大事なこと
蕎麦粉自体が良くないと繋がらないことが分かりました。
かなり多くの本を買いました!
内容的には同じ事しか書いてないのに、新しいそばの本を見ると買わずにいられない。
うんちくやら、コツやら色々憶えましたが、
頭でっかちになると、大体、自分の腕はさておき、道具が悪い!素材が悪い!と言う結論になりがちです。
僕も、包丁が悪い、蕎麦粉が悪いという方向に進んじゃいました。

 最初は、小さなボールでやっていたんですが
だんだん大きいボールを買ってきて、やってみて、それでも繋がらない。
「粉の一粒一粒に、水を与えないといけない・・」と言う話を聞いたら、
霧吹きを買ってきて、泡立て機でかくはんしながら、霧吹きで水を掛け
ミクロの単位で、粉一粒一粒に、水回しをやろうとしたり・・・
もちろん失敗しましたけど・・・(#/__)/ ドテ

 原因の一つには、蕎麦打ち名人が加水41%と言ったら、それが絶対だと思ったこともありますね。
加水の量は、粉の保存状態や、製粉の状態でまるで違います。
目の細かい粉だと大体42%前後ですが、粗挽きになると50%以上です。
もっと粗い蕎麦粉を使うお店で、加水70%と言う話も聞いたことがあります。
お土産屋の目の粗い蕎麦粉なら、加水を多目にしないといけなかったですね。

 それと加水は3回くらいに分けて行うのが普通ですが、
これを三等分にいれていたのも、失敗の原因のひとつですね。
最初の加水が一番大事です。
最終加水の90%以上を一気に加えます。
第二加水、第三加水は、微調整と思っても良いと思います。
有名店では、気温、湿度のデータから今日は加水が何%かを算出して、
すべての水を一気に加えるそうです。
最初の加水が上手く行けば、すごく、シットリとした生地が出来ますね

 本を読むと「蕎麦粉は挽いてから3日で繋がらなくなる」と書かれていましたが、これは迷信です。
確かに、挽き立てが一番ですが、
製粉の粉の粗さと、玄蕎麦の保存の問題も大きいと思います。
物産館とかで、売っている蕎麦粉とかは、繋げるのが難しいですね。

 昔は、蕎麦を打とうと思い立つたびに、遠方に出かけ、蕎麦粉を求め、
ご飯を食べるテーブルの下に、粉が落ちてもいいように新聞紙を敷き詰め、
日頃使わない蕎麦打ち道具を引っ張り出し、終わったら掃除して
けっこう神経を使ってやってました。
結果が良ければ報われるのですが、
伸ばすと最初の段階からひび割れてきて、
蕎麦を打つたびに、身も心もお蕎麦もボロボロになって行きました。

 今の技術で、お土産屋の蕎麦粉で蕎麦が打てるかな?
と、思い挑戦してみました。リベンジです。

 物産館で蕎麦粉を買い、翌日に打ってみました。
昔、繋げることが出来なかったニ八蕎麦で挑戦です。
蕎麦粉8:小麦粉2の割合です。
量が少ないとやりにくいです。
実際、量が少ない方が難しいです。
水加減とか、本当に微妙ですし、切りの時に長さが取り難いのです。
きめが細かいから、上手く行くだろう
と思っていましたら、良い具合に捏ねあがりました。
地伸し、丸出し、本伸しとヒビも入らずに綺麗に伸びていきます。
趣味の時には、蕎麦粉と道具のせいにしていましたが、
やっぱり技術的問題だったようです。

 習うより慣れろって言葉がありますが、時々打つくらいでは上達は難しいですね。
サラリーマン時代、定年したら蕎麦屋を開業したいと思っていました。
でも、仕事の合間に蕎麦を打つ程度では腕は上がらず
これでは、いかん!
と、もっと蕎麦打ちをできる環境を求め、脱サラに踏み切りました。

 良い子(親父かな?)のみんなは、真似しちゃダメだよ!(^▽^)
不景気だから、会社の思うツボだからねー!

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