11月号 「生活」命を短くさせる生活用品たち

 私が子供の頃、川は遊び場のひとつだった。毎日2歳違いの兄の後を追いながら、網と魚を追う竹の棒とバケツを持ち、「魚とり」に明け暮れた。あぜには季節の蓮華草や彼岸花。あぜ道を滑らない歩き方は近所のお兄ちゃんたちに教わった。学校帰りには、セリやつくし採りに時間を忘れ、遊び疲れて日が暮れて・・・。まるで歌の世界のように懐かしく甘美な時代だった。

 最近はどうであろうか。子どもたちが川で遊ぶ姿を目にしない。川が変わってしまったのか?それとも子どもたちが川での遊びを学ばないからか・・・?
最近の川は、全てというくらいコンクリートに覆われている。泡が浮き、ゴミが引っかかり・・・、そんなドブ川ばかりだ。

 
河川流域全体の下水道設備が遅れているのもその原因ひとつだが、毎日、家庭からどれほどの水が川に流れ出ているのか、想像してみてほしい。食事のたびに食器を洗い、歯磨きをし、トイレで用を足し、お風呂で垢を流す。雑巾も洗えば洗濯もする。大量の洗剤の泡と料理の残りや調理油の残りが、水とともに流れ出て行く。

 水の中身は? 特に、LASを主界面活性成分とする分解性の悪い泡ぶくぶくの合成洗剤は、川を窒息死させていく。工場の廃液や農業廃水・家畜汚泥などは勿論、もっと汚いものやもっと怖い成分が混ざって河川に流れ出ている。流れ流れて海に行ってもその成分はいつまでも消えてくれないのだ。

 これでは、川や海で誰も遊ぼうという気にはなれないのも仕方のないことだ。人間どころか汚れの分解浄化に活躍する微生物たちも音を上げてしまっている。

 さて、ここで私の人生観・環境の基本的考えを変えた2冊の本をご紹介したい。「生活」命を短くさせるものたち、が理解できる本。

 まず
1冊目は、レイチェル・カーソンの「沈黙の春」。40年も昔、化学物質による汚染の重大性について、最初に警告を発し、将来の環境危惧を予測した記念碑的な本だ。
2冊目はシーア・コルボーン博士ら3人の女性が書き記した「奪われし未来」。膨大なデータにもとづき、環境の中にある化学物質いわゆる環境ホルモンが内分泌を撹乱し、生殖や成長に異常をもたらすという危険性に警鐘を鳴らした本。
 この本の発刊から7年、彼女らの予測が現実となった
最近の新聞の記事もご覧いただきたい。

 彼女らが何を言いたいのか!(私も同感)。将来の地球規模的な環境破壊の原点は、私たちが日常使っている生活用品といっても言い過ぎではない。真実を知り、学び、行動し、次世代に伝えることが、私たち大人の責務ではないだろうか。子どもたちの将来のために。
例えば、毎日使う合成洗剤を環境に優しい5000年の歴史を誇る石鹸に変えてみたら、川も海も息を吹き返すのではないだろうか。

 ここ
八代市でも、町おこし・環境のことを考えてイグサ石鹸を作っているネイチャー八代の皆様がおられる。環境や子供達のことを真摯に考えて活動されている。本当に頭が下がる。自分の子どもの将来は大人の私たちにかかっていることを1人でも多くの人に感じていただけたら、幸いである。いえ、是非、感じとっていただきたいと思う。
 まずは、知ることからはじめるのは、どうでしょう?
お薦めのホームページをこちらで紹介しています。
 来月は「Made in 日本」・・・地産地消の話題でお会いしましょう。
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